2017年12月15日「世界一受けたい授業」では
「今年わかった16の新常識」の16位として、
体内のビタミンDを増やすと
インフルエンザの発症を2割減らせる
とする東京慈恵医科大学などの研究チームの
発表を紹介しました。
その内容についてメモしておきます。
記事内容には感想や私見も含みます。
あくまでも医療関係者ではない、一視聴者のメモです。
また、番組放送内容だけではなく、
調べたことも含まれています。
この記事の目次
ビタミンDがインフルエンザの発症を2割減らす研究について
体内のビタミンDを増やすと、
インフルエンザの発症を2割減らす、
という研究は、
2017年4月16日 日本小児科学会で発表されたものです。
毎日新聞の報道
https://mainichi.jp/articles/20170413/k00/00e/040/233000c
研究に参加した東京慈恵会医科大の
浦島充佳教授(小児科)は
この発表以前から、
ビタミンDがインフルエンザの感染予防に有効、
とインタビューなどで話しています。
【発表の内容】
かいつまむと、
(上に載せた毎日新聞の記事も読んでみて
いただきたいですが)
2009年~2016年に行われた
血中のビタミンDの量と呼吸器感染症の発症についての
世界の25の報告を統合して
0~95才の約1万1000人のデータを分析すると
ビタミンDの錠剤を飲んだグループと
飲んでいないグループとでは
インフルエンザや気管支炎、肺炎などの急性の呼吸器感染症の発症
が2割少ない
特に、
もともと、血中ビタミンDが不足していた人に?ギルト、
ビタミンDを飲んでいたグループの発症は7割少ない
という結果になったそうです
ビタミンDの摂取を推奨するほどの因果関係はない?
一方で、こんな記事も見つけました。
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-38989446
この記事には慈恵医科大学の名前は出てきませんが、
世界の25の報告の中の1万1321人のデータを統合した、
とあるので、
小児科学会で発表された研究と
同じ内容ではないかと思います。
「研究チーム」は国際的なものだったそうですし。
この、
ビタミンDのサプリメントを摂取することが
インフルエンザなどの呼吸器感染症の発症を防ぐために
有効、とする発表に対して、
イングランド公衆衛生サービス(PHE)の
ルイス・レビー教授は、
(この研究は)
「呼吸器感染症のリスク軽減のためビタミンDを推奨するに足りるだけの、
十分な証拠を提示していない」
と指摘しています。
ビタミンDはインフルエンザ予防に有効なのか?
2つの記事では、
研究の対象となったのは、急性の呼吸器感染症、ということで
インフルエンザのみではない
特に発症予防の効果が高かったのはビタミンDがもともと不足していた人
ビタミンDは一度に大量に摂るよりも、継続的に摂った方が
発症予防の効果が高かった
となっています。
もちろん、インフルエンザ以外の
呼吸器感染症も罹らない方がいいに決まっていますし、
ビタミンDが不足すると
骨粗鬆症の原因にもなりますので、
ビタミンDを必要な量摂るようにすることは
ぜんぜん、悪いことではないのですが、
この研究では、
インフルエンザだけに限った発症率の低減率が
どの程度なのかは不明ですし、
ビタミンDを摂ればそれでインフルエンザが予防できる、
というものではないと捉えたほうがいいとお澪ます。
このブログの他の記事にも載せていますが、
厚生労働省の、インフルエンザ予防のガイドラインでは
「Q9.インフルエンザにかからないためにはどうすればよいですか?」
という項目があります。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html#q9
項目を挙げると、
2.飛沫感染対策としての咳エチケット
3.外出後の手洗い等
4.適度な湿度の保持
5.十分な休養とバランスの取れた栄養摂取
6.人混みや繁華街への外出を控える
となっています。
これらを実施した上で、プラスして、
ビタミンDが不足しないようにするのが
よいのではないでしょうか。
ビタミンDサプリメントには注意も必要
医学チームの発表では、
サプリメントで摂取することを提唱されていますが、
ビタミンDの過剰接種は
ビタミンD中毒を起こし、
長期にわたると
カルシウムの血中濃度が上昇した状態が続くことで
血管や体の組織が石灰化し、
心臓、血管、腎臓などに障害が出ることがあります。
サプリを使う場合は
使用量に注意する必要があるでしょう。
ビタミンDって不足しているの??
番組では、
日照時間が短くなる冬はビタミンDが不足しやすい、
と説明していました。
ビタミンDは
日光に当たることで生成され、
また食べ物から摂ることができますが、
今、普通に生活していると
ビタミンDは不足しがちになるようです。
ビタミンDは野菜にはほとんど含まれておらず、
ビタミンDが豊富な食べ物は
魚ときのこ
です。
これらの食べ物を日常的に食べて
適当に日光に当たっていればよさそうなのですが、
自分の生活を振り返ってみてどうでしょうか?
魚やきのこをほとんど食べない
日光に当たらない生活
が続くとビタミンDは不足しやすくなります。
特に女性は、紫外線対策のために
体を覆う服装をしたり
UVケア用品を使うことが多く、
それはそれは必要なのですが、
日光に当たらなすぎるのもよくないのですね。
ではどれくらい日光に当たればよいのか
なのですが、
季節や地域によっても違います。
手のひらだけを15~30分程度でよい
とする情報もあるのですが、
この研究では、
顔と手を日光浴させたところ、
12月の場合で
那覇 8分
つくば 22分
札幌 76分
で、1日に必要な5.5 μgを体内で合成できたそうです。
顔を日光浴させるのは
美容という観点からはちょっとイヤですね・・・
まあ、1日の必要量をすべて日光浴で
作る必要はないので、
つくばあたりの関東地方なら、
手のひらを20分程度日光浴させて
魚やきのこを意識して食べれば
大丈夫なのかもしれません。
一方、冬季日照量が特に少ない
北海道、東北、北陸などでは
過剰摂取に気をつけながらサプリを利用するのも
よいのかもしれませんね。
食べものや日光浴でビタミンDが過剰になるリスクは?
番組では、ビタミンDを摂りやすい食べ物として「鮭」を
挙げていました。
確かに鮭は魚の中でもビタミンDが多く、
100gの中に30μgのビタミンDが含まれています。
成人女性の1日のビタミンD摂取量の目安は5.5μg、
上限量は25μgなので、
鮭1切れ(80gくらい)を食べると、
ちょっとビタミンDが多い?
という気がしますが、
実際には、食べ物が原因でビタミンDの過剰摂取になる、
というリスクはほとんどないようです。
(そのメカニズムが分かりやすく書かれている情報を
見つけられなかったのですが、
食べものに含まれているビタミンDの場合、
食べた分すべてが吸収されるわけではないの
ではないかと思います。)
また、日光浴によってもビタミンDが生成されますが、
日光浴で生成されるビタミンDは、
一定量に達するとそれ以上増えないので
日光浴のしすぎでビタミンD中毒を起こすことはないそうです。