テレビ番組でインフルエンザ、風邪予防法として
「15分おきに水を飲む」
ことが紹介され、twitterなどでも広まっていますが、
という疑問があったので調べてみました。
2020年4月追記
新型コロナウイルスが多くの人の生活に影響を及ぼしている状況で、この記事にも
「新型コロナウイルスの予防 15分おきに水を飲む」
といったキーワード検索からのアクセスがあります。
15分おきに水を飲むことが、新型コロナウイルスの予防法として有効である、という根拠はありません。
有効とされている予防法は
- 密集、密閉、密接を避ける
- 手を洗う
ことです。
また、(うちのブログに来ていただいておいてなんですが)新型コロナウイルスについての情報は、ネット検索ではなく、
厚生労働省など、公的機関のものを読みましょう。
この記事の目次
「15分おきに水を飲む」テレビで紹介されたのは?
風邪・インフルエンザ予防の方法として「15分おきに水を飲む」はテレビやネットで繰り返し出てくる話題で、
例えば、2014年「主治医が見つかる診療所」で
東京慈恵医科大学・浦島充佳(うらしま みつよし)医師が
インフルエンザ予防法として、自分が実践している方法の1つとして「嚥下(えんげ)」をあげ、
10~15分に1回、水分を飲み込むとのどの乾燥を防ぐ効果がある、また喉に着いたウイルスを流し去る効果がある
と説明していました。
他には、
2016年11月29日放送「林修の今でしょ講座」風邪予防法の特集で
帝京大学の新見正則(にいみまさのり)医師が、
20分おきに水分を摂ることで咽頭の乾燥を防ぐ
(菌・ウイルスを洗い流す、とも言っていたようです)
とコメントしていました。
流し去る、というのは飲み込んでいるわけですが、ウイルスの活性は胃酸によって必ずしも失われるとは限りません。
15分おきの水飲みには医学的な根拠はない?
こうしたテレビ放送の影響だと思いますが、twitterやまとめサイトでは
15分おきに水やお茶を飲むとウイルスを洗い流し胃酸でウイルスが死ぬので、インフルエンザの予防になる
という内容の情報がたくさん出てきます。
20分おきという情報もあります。
テレビで紹介した医師の他にも、
自分自身のインフルエンザ予防のために診察中もこまめに水を飲むことにしている、という医師もいる一方で、
「15分ごとの水飲みで、ウイルスが洗い流されて感染を防ぐ、ということには医学的な根拠がない」
という疑問を呈する医師の意見もtwitterでは多く見ました。
根拠がない、というのは、
ある程度の規模の人数に対して
15分おきに水を飲んだ人のグループとそうでない人のグループとで罹患率を調べる、といった検証がされてない、という意味です。
だれかが
「私はこの冬15分おきに水を飲んでいたらインフルエンザに罹らなかった」
というのは、それが医師であっても個人の体験談でしかありません。
ただ、
こまめに水分を飲んで咽頭の乾燥を防ぐことがインフルエンザ感染の予防に一定の効果があるというのは、根拠はあるそうです。
インフルエンザウイルスは鼻からも感染する
仮に喉の奥のウイルスを洗い流すことが有効だったとしても、
鼻咽頭(びいんとう)に着いたウイルスには、水を飲み込んでも影響がありません。
鼻から吸いこんだ空気は鼻粘膜から出る水分で加湿されるので、ウイルスは活性を失いやすいのですが、
インフルエンザの感染経路は主に飛沫感染と接触感染で
鼻ほじりの癖などで、指についたウイルスを鼻の中につけてしまう、という接触感染の可能性もあります。
インフルエンザ予防の基本
ここで、基本的なインフルエンザ予防法をチェックしておきます。
インフルエンザが流行する前のワクチン接種
外出後の手洗い
湿度を保つ
疲れをためないよう休養しバランスのとれた栄養を摂る
人ごみへの外出を避ける
咳エチケットを守る(うつさないために)
厚生労働省のホームページ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
「15分~20分おきに水を飲む」のは、「咽頭の湿度を保つ」という意味であれば予防法のひとつとして考えられるように思います。
それから、
インフルエンザワクチンには感染を防ぐ完全な効果はないから「意味がない」とする意見もありますが
感染することと、と発症することとは違います。
ワクチンには、感染しても気が付かない程度の症状に収めたり、重症化させない、といった効果が認められています。
このページが分かりやすいです。
http://www.meiji.co.jp/influ-navi/prevention/detail06.html
また、ある社会の中で一定割合の人が予防接種を受けることによって
受けていない人が感染することも防ぐ、という集団免疫の効果があることが2001年、アメリカでの研究で分かっています。
(参考URL http://www.huffingtonpost.jp/2018/01/26/infuruenzacommunity_a_23344626/)
で、結局「15分ごとに水を飲む」は風邪・インフルエンザ予防になる?ならない?
調べてみて私が個人的に理解したのは、
15分間隔で水を飲むことは喉を乾燥させないようにするという意味での予防効果はありそう。
でも、インフルエンザや風邪を予防できる決定的な方法ではないし、
ワクチンや手洗いなどの他の予防法より効果的である根拠はない
ということです。
水を飲んでも(お茶は飲みすぎはカフェインの摂りすぎになるかも知れませんが)害はないですし、
ワクチンの接種、手洗い、咳エチケットといった、基本的な予防法を実践したうえで、過度な期待をせずにやってみるのはいいのでは?
と思います。
あくまでも個人的感想なので、
「15分置きに水を飲むこと」を提唱した人を批判するとか、やっている方を否定するものではありません。
が、ちょっと気になったのは、twitterで、
手洗いよりも効果があるので子供の学校に
導入させるように申し出ている、と言っている人がいたことです。
⇒その後、医師の人たちに、「根拠がない」と言われて
そのツイートは削除されました。