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プロフェッショナル仕事の流儀・アフリカゾウ飼育の課題(予習篇・放映後感想)



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「プロフェッショナル仕事の流儀」2017年1月30日放送の回は、73分拡大版版で、


ネコからゾウ、キリンまで! 動物と向き合うプロたち


というタイトルで、


その中で、愛媛県砥部市とべ動物園の飼育員、椎名修(しいなおさむ)さんが取り上げられました。


※放映後感想を追記しました。


1時間13分(73分)の放送時間で4名、という構成なので、
椎名さんのアフリカゾウ飼育の取り組みについてどこが取り上げられ、どこがカットされるのかは分かりませんが、


以前、NHKでとべ動物園のアフリカゾウ家族について放送された際には、
現在、多摩動物公園にブリーディングローン(繁殖のための無償貸出)
されている、砥夢(とむ オス 2017年1月現在7才)のことは


「かすりもしなかった」


ということだったので


とべ動物園のアフリカゾウ一家と椎名さんはじめ飼育チームがどんな問題を乗り越えてきたのか、


分かる範囲でまとめておきます。


参考にしていただければ幸いです。


番組放送内容については放送後に別途まとめます。


とべ動物園ってどんな動物園?


とべ動物園は、昭和28年(1953年)に設立された道後動物園を前身として、
昭和63年(1988年)に移転オーブンしました。


人工哺育で育ったホッキョクグマピースが有名ですね。


また、2016年夏から、動物園で飼育している動物(一部鳥類などを除く)すべての死亡情報を公開する、としたこともニュースになりました。


亡くなったことや死亡理由をオープンにすることは批判の要因にもなるので(事故なら防げたのではないか、病気ならもっと早く発見できたのではないか、とか)


動物園にとってはリスキーなことですが、


動物園は、飼育動物を見て「かわいい」と楽しむだけではなく、


動物が生まれて、生きて、繁殖して、亡くなる、という命のすべての段階を見せて学ぶ場である、とする考え方や、


公開して、そこから次の進歩につなげようとする試みとして評価されています。





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とべ動物園のアフリカゾウ飼育の始まり


とべ動物園でアフリカゾウの飼育が始まったのは、開園した1988年の9月。
アフリカから、オスゾウのアフ、メスゾウのリカが来園しました。


アフとリカは、推定2才程度で、母親と群からはぐれていたところを保護された、保護個体です。


2000年に生まれた最初のオスの子は死産、2003年にはメスの子が流産、という結果になりました。


(ゾウは最初に1、2頭の子はこのように死産や流産になることも多いのだそうです)


そして、2006年11月9日、メスの赤ちゃんが生まれました。


アフリカゾウの人口哺育


2006年に生まれた赤ちゃんは健康な子でしたが、リカが授乳をせず、赤ちゃんを鼻で持ち上げて落とす、などの行動があったため、


椎名さんたち飼育チームが人工哺育をすることになりました。


ゾウは母系の群で暮らす動物でオスは15才くらいで群を離れて、若いオスだけの小さなグループを作るか、単独生活をしますが、


メスは一生生まれた群で生きていきます。
その間に弟や妹の面倒を見たり、自分が子育てするときにも、お母さん、お姉さん、おばさんたちがてつだってくれますが、


赤ちゃんの頃に群からはぐれてしまったリカは赤ちゃんをどう扱ったらよいのか分からなったのでしょう。


赤ちゃんの名前は公募で愛媛県の「媛」の字をとって媛(ひめ)と付けられました。


tobe

媛が生まれてから、リカのもとに家族として戻るまでの経緯はこちらの本に詳しいです。




フレーベル館のジュニアノンフィクションなので、
小学校4年生くらいから読めると思いますが、大人が読んでも読みごたえがあります。


ゾウの家族の形成へ


媛が1才になるころから、椎名さんたちはだんだん、リカと一緒に過ごす時間を作るようにしていきます。


そして、2009年3月17日、媛の弟が誕生しました。


ゾウの妊娠期間は22ヵ月から24ヵ月、と約2年もあります。


椎名さんたちは、媛が人工哺育になった時から、弟か妹を作って今度はリカに子育てしてもらい、いずれ、媛も含めた家族にしようと計画していたそうです。


今度の子はリカによる自然哺育になり、砥部の夢、という意味の、砥夢、と名付けられました。


お母さん、お姉さんに自然に甘える砥夢を仲立ちにして媛も以前よりもリカとの距離が近くなりました。


2013年6月1日には、3頭目の子、砥愛(とあ)が生まれます。


ただ、砥夢は、2012年11月27日に繁殖計画のため、東京都多摩動物公園に移動し、妹の誕生は見ていません。


前に書いたように、アフリカゾウ、アジアゾウのオスは、大人になると群を離れて単独生活するため、


とべ動物園では、オスのアフとリカと子供たちの運動場は別にしていますが、


砥愛が3才になることから、様子を見て、全頭同居のトレーニングを始めています。


これは、媛や砥愛が大人のオスとの接し方を学び将来スムーズに繁殖できるようになるためだそうです。


また、体が小さい砥愛は、オス運動場とメス運動場のしきりの鎖をくぐってお父さんのところに行ってしまうことがあり、


とべ動物園ファンの方のツイッターやブログでその様子を見て、ほほえましいなあ、と思っていました。


アフの死亡


3頭の子どもの父親で会ったアフは2016年4月14日、熊本地震が起きた日に突然死亡しました。


13日の夕方、室内飼育場に収容した時点で異常はなく、14日の朝、飼育員が出勤した時には起立不能となっており、


点滴をしたり、釣り上げて立たせようと努めたものの、13時ごろ死亡を確認した、と報じられました。


その後、


当時、アフは、「マスト」というオスゾウ特有の生理周期で反抗的になったり暴れたりする傾向があったため、


夜中に暴れて糞で足を滑らせるなどして転倒した可能性があり、転倒時に脚を脱臼して起てなくなってしまい、


自分の、体重による負荷で循環不全を起こして死亡した、


と死因が報じられました。


ゾウのような体の大きな動物は、立てなくなると、自分の体重が内臓や血管を圧迫してしまい、それが原因で死んでしまいます。


競争馬も足を怪我するとダメ、といいますよね。


オスゾウは、12才くらいの生殖可能年齢となったころから年に1、2回、マストが起こるようになります。
(マストはアフリカゾウにもアジアゾウにもあります)


この時期にはテストステロンの量が増え、目の横の側頭腺からの分泌物が増えたり、気が荒くなって仲間のゾウや壁にぶつかって行ったり、
飼育員にも反抗的になることがあります。


が、マストと繁殖期とは直接の関係はなく、なんのためにあるものなのか、まだ分かっていないそうです。


また個体によって程度に差があり、イライラはしているけれど、展示場に出ることやトレーニングが一応普段と同じようにできるオスゾウもいます。


期間も2ヶ月程度の場合もありますし、アフは他の個体よりもかなり長くて半年くらい続くタイプだったそうです。


今まで日本でゾウの繁殖実績があまりないのは、体が大きくなり、マストがあって飼育しにくいオスをあまり導入せず、メスだけ2頭、といった飼育をしてきたためでもあります。


今後の国内のアフリカゾウの繁殖は・・・?


現在、日本国内では、繁殖能力があると分かっているオスが3頭(だったと思います)しかおらず、ぶっちゃけ、かなり危機的な状況です。


また半側可能年齢の若いメスもそれほど数多くいるわけではありません。


アフとリカの子、砥夢は多摩動物公園にブリーディングローンで多摩動物公園に行きましたが、現在、多摩には砥夢のお嫁さんになれる若いメスゾウはいません。


また、媛は今年11才でそろそろ繁殖可能年齢を迎えますが、お婿さんとしてとべ動物園に迎えられるオスは日本国内にいないはずです。


それでも、とべでは今後オスゾウの導入を目指しているそうで、もうアフリカから新しい個体を日本に入れるのはかなり難しいので、あり得るとしたら、海外の動物園からの譲渡、でしょう。



ゾウの人口哺育の難しさ


リカだけでなく、また、ゾウだけではなく動物園で育った動物が、育児放棄や授乳拒否をするのはわりとよく聞きます。


そうした場合人間が引き取って人口哺育をするのですが、ゾウは人口哺育がとても難しい動物のようです。


1才を過ぎたくらいで、骨形成不全や骨折が原因で死亡することが多いのです。


アジアゾウの例ですが、豊橋総合動植物公園のマーラは1才過ぎのとき両前肢を骨折し、骨折が治った後も筋力が弱くなったために自力で立つことができず、現在もリハビリを続けています(残念ながら亡くなりました)


人口哺育のゾウの子どもが骨、肢を傷めるのは栄養というよりも、人が育てた場合、ゾウどうしのようにぶつかり合いなどができず運動不足になるためではないか、と考えられています。


媛の場合は、1才前にお母さんのリカと同居をするようになり、その後砥夢が生まれて、ゾウの子どもどうしで遊べるようになったのが
良かったのかもしれません。



放送前に思っていること


とべ動物園のアフリカゾウ飼育については

今まで書籍や、個人の方ブログで、おおまかなことは知っていましたが、


映像で見るのは初めてなので、楽しみにしています。


一度は育児放棄をしたリカさんが3頭の子どもを育てるまでになったことが本当に素晴らしいことだと思っていますし。



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放映後の感想


他のプロフェッショナルの方と比べて、椎名さんのコーナーは時間が短かったような気がするんですけれど(笑)。



予想はしていましたが、アフさん(お父さん・2016年4月死亡)、
砥夢くん(長男・現在多摩動物公園)
のことは触れられませんでしたね。


単に時間の関係だとは思いますが、「アフリカゾウが家族で暮らしているところが見られる全国唯一の動物園」というのなら、


お父さんについては触れてほしかったですけれど。


2013年の映像で、
媛ちゃんが風の音を怖がって走り回っていたときに隣の運動場から気にしていたのが、生きていたころのお父さん・アフさんです。


砥夢くん、砥愛ちゃんが生まれていっしょに暮すようになってから媛ちゃんは落ち着いたのだと思っていましたが、2013年ごろでもああいうことがあったんだな、と思いました。


椎名さんの献身的な、でも自分は決して前に出すぎずに、ゾウはゾウとして生きることを尊重する
姿勢はよくわかりましたが、
大森山動物園の柴田さん(キリン担当)のコーナーと比べて、具体的な飼育技術のことはあまり見えませんでした。


他園から見学に来ていたた女性の飼育員さんは、たぶん、関東圏の某園のアジアゾウ担当で観たことがある方でした^^

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